「脚の長さ(足の長さ)が違う」とは
よく“脚の長さが違う”という状態をご自身で感じたり、TVなどのメディアにも取り上げられたりすることがあります。
「脚の長さに左右差がある」というと、土台が斜めになってしまい、身体の上部でなんとかバランスをとることになり、様々な関節や筋肉に影響を与えてしまう要因となるのでは・・・
ということがイメージできますが、実際はどうなのでしょうか。
脚の長さが変わるパターン
そもそも“脚の長さに左右差がある”というのはどういうことでしょうか。
まず大きく分けて2通りのパターンがあります。
1つは、「本当に脚の長さが違う」パターン。
例えば、股関節の手術をして人工骨頭にした際長さが合わなくなってしまった方や、
大腿骨などの脚の骨を折ってしまい、しっかりと元の状態まで治ることができなかった方。
あるいは先天的な要因などで左右に差ができてしまっている方もいらっしゃいます。
以上のような原因で、脚の骨の長さを測定したときに本当に左右差がある場合を「解剖学的下肢長差」といいます。
そしてもう1つは、実際に脚の長さ自体が違うのではなく、どこか身体の異常の影響で、「見かけ上、脚の長さに左右差が見られている」パターンです。
よく活発な児童にみられる、股関節炎での「仮性延長」は見かけ上、患部側が長く見えます。
また、様々な関節や筋肉に機能異常がある場合は、骨盤の位置異常や神経の反射による筋の収縮により「片足が短く見える」状態を起こしています。
以上のような原因で、脚の骨の長さを測定しても変わらないにもかかわらず、脚に左右差が出ている場合を「機能的下肢長差」といいます。
解剖学的下肢長差というのは、手術などで実際に骨の長さを変えなければ揃えることは難しいですが、機能的下肢長差というのは、大抵の場合、適切な検査・施術を行えばその場で揃えることが可能です。
左右差があるのはダメな事なの・・?
まずはっきり言ってしまうと、左右の機能的な脚長差があることの方が「自然」です。
ほとんどの方は少なからず癖や弱点、異常を持っています。
例えば1cmくらいの脚長差があったとして、冒頭で述べたような「土台が斜めになってしまい上体が壊れてしまう」なんていうことは、多少の負担はあれど、実際は本来持つ調整機能で補うことができるので、さほど心配する必要はありません。
ですが、あまりにも大きな脚長差はやはり余計な負荷を産みます。
当院でみる患者さまの中でも3cm以上差があるというような方も少なくありません。
その場合はすでに強い症状を訴える方も多いですので、やはり整えるようなアプローチをした方がいいでしょう。
しかし大切なことは「脚の長さを整える」のではなく、「脚の長さを作る原因となっている異常を整える」ということです。
脚長差とは「からだのこえ」であると当院では考えています。
脚長差が起こるとされるメカニズムは各テクニックなどでも解釈が微妙に違っていたりしていて、完全に解明されている訳ではありません。
その考え方の1つに「神経の反射」によるものということがあります。
それは各部位に異常があると、本来であれば抑え込んでいた「起こらなくていい反射」のブレーキが緩み、身体を動かすことで筋肉が余計な緊張をし、脚を短くするというものです。
つまり「脚長差がある」ということは「からだのどこかに異常がある」というサインなのです。
私達はその「からだのこえ」を聞きながら異常を探し施術をしています。
当院では「アクティベータメソッド」というテクニックを使って施術をしています。
足の長さをみながら、異常を見つけ出し、低刺激な振動で適切なエネルギーを使い背骨や骨盤、筋肉を整えていきます。
足の長さに差がなく揃っている状態が「理想」です。
施術を行い、適切に異常にアプローチをすれば、当院では99%の方はその日に脚の長さを揃えてお帰り頂けます。
前述したように、手術や先天的・後天的な問題で本当に脚の長さに違いがある、という場合は揃うことはできませんが、本来の位置までは戻ることが可能ですので、余計な負担や症状も減っていきます。
ですが、きっとしばらく日常生活に戻ればまた「脚の長さの左右差」は出ます。
「施術をして揃えてもまた戻ってしまうんでしょ?」と思う方も多くいらっしゃるかと思いますが、私達は「脚の長さが揃っている状態を保つ」ことに対して執着はしていません。
脚の長さを変えながら訴えているあなたの「からだのこえ」をヒントに、どこに異常があるのかをみつけ、正しくアプローチできたかどうかを大切にしています。
正しい状態でからだを使えるようにする。それは多少の脚の左右差があるという「理想的とは言えないが自然な負担」にも耐えられるからだに戻るということです。
カタチに固執するのではなく、その機能を整えます。
ただし余りにも大きな脚長差は異常が眠っている証拠ですので、いつでも当院にご相談下さい。